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【感想】茅ヶ崎サザン芸術花火2018【というか「最高」という独り言】(曲目セットリスト含)

「茅ヶ崎の夏はノスタルジーによって出来ていく」

一つのアーティストの楽曲で、
1時間もの間、花火を打ち上げる。
世界中に、そんなことが出来るバンド、土地が
サザンと茅ヶ崎以外に有るだろうか?

一週間前は完全な雨予報、
前日まで降水確率が50%もあったにもかかわらず、
茅ヶ崎小学校にはまるで「今年の夏を忘れるな!」
(Remember Summer Days!!)
と言うが如くの日差しが降り注いでいた。

駅を降りたらサザン通りを茅ヶ崎小学校へ。
小学校でリストバンドを貰ったら、
またサザン通りで浜まで歩く。

正直、かったるい。面倒である。
しかし誰もが皆、この道を行けば
そこに何か楽しいことが待っている気がすると、
そんな面持ちで自分の足をもって歩く。

自分のおばあちゃんくらいの女性もいる。
まだ一体今日が何のお祭りなのか分からない子どももいる。
浜が見えた時、神木隆之介くん演じる
宮治淳一が僕らに語りかける。

「さぁ、お前はどうアウトプットするんだ?」と。

風は確実に強まっていた。
花火は雨でも上がるが、風には弱い。
風が強いと波が強い、海の上での作業が遅れているという。

会場のBGMはもちろんサザン。
茅ヶ崎や海に縁のある曲を中心に、
40年の歴史が流れる。
期待と興奮が高まる。

サザンファンはご存知、
「さぁみなさん!お待たせいたしましたー!」
で有名な?青柳愛さんがいつもより控えめなトーンで告げた。

「ただいまより、茅ヶ崎サザン芸術花火を始めます。」

M1 壮年JUMP/2018

以前、桑田さんは過去に影響を受けた様々なアイドルを想って
作っただけである、と述べていた。
僕には西城秀樹さんの訃報と重なり、
今年を象徴する一曲だと思っている。

ロックインジャパンでも、大盛り上がりした曲だ。
1サビ、合いの手を入れる。
あれ、なんか違うぞ。

桑田ソロの「風の詩を聴かせて」という曲の歌詞を思い出した。

「盆の花火は妙に静寂 刹那さを煽るはどうして? 」

もちろん、盆も彼岸もとおに過ぎている。
それでもこの自然災害や動乱の「平成」という時代の、
何か鎮魂歌のような、気持ちであった。

以前から茅ヶ崎とサザンを説明する時に、
僕は次のような例え話をしてきた。

「TUBEは厚木から車に乗って女の子とビーチでパーティーするんだよ、
でもサザンはそれを羨ましそうに松林の中でひとり自慰をしてるの。」

これは決してTUBEを悪く言ってるのではない。
バンドの温度、というものを表す意である。
僕はここに、『ペット・サウンズ』を送り出した
ブライアン・ウィルソンに通じるものを感じている。

M2 希望の轍/1990

この曲には一人称が出てこない。
僕なのか、私なのか、あなたなのか。
夏の日は陽炎、離れゆくエボシライン。

この曲を聴くとスイッチが入る。
不思議な曲だ、一体何のスイッチなんだろうか?

手拍子、足踏み、
会場全員が鳴らす自分のスイッチに合わせて
その時に花火は花ひらく。

M3 真夏の果実/1990

この花火は、これまで自分が見てきた花火とは
まったくレベルが違う。
普段なら単発でパーン、パーンと開く花火に
ここまでの感情の動きは生じない。

映画『稲村ジェーン』。
若者3人があてもなく歩く人生に、
赤い風車が一斉に揺れる。

真夏の果実は今でも、確実に
みんなの心に咲いていた。

M4 そんなヒロシに騙されて/1983

私の中で大まかにGSは、
東京サウンド・九十九里サウンド
地下サウンド、そして湘南サウンドに
分かれると勝手に考えている。

デンデケデケデケ…
渚にたたずんでいたあの娘は、
サイケな夏を過ごせたのだろうか?

M5 いとしのエリー/1979

もしかすると我々には
「そんな夏」は存在しないのかもしれない。

これまで多くの哲学者が過去という存在の証明を試みた。
けれど一人として、「たった今世界が始まったんだ」という
仮説を否定できた人はいない。

これで最後にしよう。
ずっとそう言って、繰り返される永遠の今。

「あのときああしていたら、どうなっていたんだろう?」
人生はLA LA LAND。

M6 LOVE AFFAIR~秘密のデート~/1998

人間は弱い存在である、という
性悪説・性善説をこえた「性弱説」を考えている。

善人にもなれず、悪人にもなりきれない。
磁石に吸い寄せられるように、居心地のいい場所へと流されていく。

左右から放たれた花火は、真っ直ぐに上がらず
クロスして違う方角へと進む。

夜明けの街ですれ違う二人の行先は、
永遠に同じになることはないのだ。

M7 SEA SIDE WOMAN BLUES/1998

”愛”という字は真心(まごころ)で
”恋”という字は下心(したごころ)

日本文学史に残る名文である。

夏の終わりを諦められない、
そんな情けない男と知りながらも
ふと渚橋を振り返ってしまう。

M8 東京VICTORY/2014

変わりゆく街の中にも、
変わらないものがあるんだ。

僕はこの芸術花火を見ながら
「もう恒例の夏の花火は見られないよ」と想った。

でも、来年も8月の頭には、この浜で
また夜空の花を見上げているんだと思う。
いつもと同じ茅ヶ崎の花火、
昭和から変わらない海の家、松林…。

時が止まったままの
あの日の My hometown
二度と戻れぬ故郷

帰りたい、帰れない
命の限り旅は続く。

M9 TSUNAMI/2000年

この曲を、大音量のスピーカー
そして野外で聴けたのは何年ぶりだろうか。

あの日は幻影。
出逢う夏は二度とない。
思い出はいつの日も雨。

誰もが喜びも悲しみも、
すべての業を抱いて大人になっていく。
ふと周りを見渡すと、その大人の中で
自分だけが取り残された感覚に陥る。

泣きたくても、泣けなかった日々。
儚い花火は、ドーンドーンと僕の心に訴えかけてくれた。
涙を見せて大人になれと。

M10 勝手にシンドバッド/1978

桑田佳祐という人とはもちろん話したこともないし
僕に語る資格なんてないけれども、
やっぱり「お祭り男」なんかではないと思う。

ずっと存在しなかった「そんな夏」の中で、
夏の日の思い出を思い返しているんだと。

付き合えなかった女の子、幻想の中でのロマンティックを
ひたすらに思い出そうと40年間、歌ってきたんじゃないかと。

いくつもの時間軸の中で自分自身の居場所を確認するために、
「今何時?」と自問自答を繰り返しているのではないだろうか。

M11 HOTEL PACIFIC/2000年

ここまで貴重な人生の時間を無駄にして
僕のチラシ裏に付き合ってくれたあたなには分かるでしょう。
こんな夏全開のGSチューンでも、「夏の終わりが涙で暮れている」んです。

「茅ヶ崎の夏はノスタルジーによって出来ていく」

錆びれた海辺の国道が、茅ヶ崎なんです。
パシフィックホテルは、その象徴です。

2000年茅ヶ崎ライブに向けた楽曲で、
砂の上で口づけなんてなかった、
存在しなかった「真夏のパシフィックホテル」を
歌ってしまう、歌わないといられない。
これが茅ヶ崎人の業なんです。

M12 みんなのうた/1988年

遠い夏の孤独な 街並みはBlue。
LIVEでも最高に客のボルテージがあがるこの楽曲でさえ、
実はとても悲しみを抱いた曲なんだなと思った。

サザンという荷物を下ろすタイミングは、
この40年間でいくつもあったと思う。
それでも桑田さんは、サザンは辞めなかった。

スターマインの花火は、虹色に夜空に輝く。
もちろん客からも、今日一番の歓声が上がる。

きっと僕がその立場なら逃げていると思う。
この歓声に耐えられないと思う。

旅の重さに疲れてもなお、
振り向かず歩んできた40年。
現在進行系のサザンは、いつの日か逢えるだろう
忘れかけた恋人を探し続けているんではないだろうか。

M13 蛍/2015年

「青空は悲しい空」(歌手・桑田佳祐)

1945(昭和20)年8月15日、
関東より西の地方は快晴であったという。

「8月15日/ついに負けたのだ。戦いに敗れたのだ。
夏の太陽がカッカと燃えている。目に痛い光線。
烈日の下に敗戦を知らされた。
蝉がしきりと鳴いている。音はそれだけだ。静かだ」
(作家・高見順『敗戦日記』)

あの日から何度目の夏が来たんだろう?

僕らはいつも「そんなあの夏」を基準に生きている。
それは実際に存在したかどうかは不明である。

前世かもしれない、違う時間軸なのかもしれない。
それでも遠い過去の時を想い、永遠の今を生きていく。

茅ヶ崎は永遠に夏の終わりを繰り返し、
そのノスタルジーで出来ていく街である。
そんなひとつの自分なりの見解を、
初めての経験によって思い出したのであった。

最後に2018年現在、最新曲の「壮年JUMP」ではじまり
サザンの現状最新アルバム『葡萄』から「蛍」をラスト曲に選んだ、
当花火大会のプロデューサーに大変に僭越ながら、
「あんた最高だと」と声をかけ抱きしめたいぜ!

“【感想】茅ヶ崎サザン芸術花火2018【というか「最高」という独り言】(曲目セットリスト含)” への2件のフィードバック

  1. […] ①茅ヶ崎サザン芸術花火大会2018についてはこちらから 「茅ヶ崎の夏はノスタルジーによって出来ていく」 […]

  2. たまゆら より:

    順正さん☆
    一夜明けて更に感動の波が押し寄せてきている感じ。
    私は凄いものを観てしまった!
    花火と曲の相乗効果。
    花火であんなにも泣けるなんて
    半世紀も生きてきて初めて知ったよ。
    サザンの曲だからなせる技⁉︎
    わからないけど とにかく観に行けて 素敵な夜を過ごせて 本当に良かったわ。
    平成最後の想い出に残る花火となりました。
    そして こんなに素晴らしいブログ
    読ませて頂きありがとう。

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